日本財団 図書館


 

【5】石狩湾新港における諸規制面からみた実現可能性
A 石狩湾新港の概要
石狩湾新港は、当初、北海道が単独で港湾管理者となり、昭和48年4月、重要港湾の指定を受け、同年8月から国直轄事業により本格的に港湾工事に着手した。その後、昭和53年4月、新たな港湾管理者として、北海道、小樽市、石狩町の3者が石狩湾新港管理組合を設立し、以後、新管理体制のもとで、第5次〜第8次港湾整備5ヶ年計画に基づき、東地区から順次港湾施設の整備を進めている。昭和57年に東埠頭木材岸壁の一部供用開始、昭和63年には、中央水路地区花畔埠頭岸壁の一部供用開始、平成3年には樽川埠頭岸壁の一部供用開始が行われ、引き続き埠頭の整備が図られている。平成8年3月現在、計画19バースのうち14バースが完成し、10バースが供用開始されている。
B 岸壁に係船した状態での作業を想定した場合のクリアすべき課題
《水域占用許可》
フローティングドックによる修繕事業を岸壁に係留した状態で行おうとする場合には、独占的な水域の長期占用対象案件に該当すると考えられ、港湾法第37条第1項に規定される港湾管理者の長の許可を受ける必要がある。水域占用施設の設置に関しては、総合的港湾空間の形成の観点から水域の長期的な利用の誘導を図るため、その位置、用途を港湾計画の方針に位置づけること及び港湾計画と整合した当該水域の利用計画を策定すること等が要求されている(港管第2441号及び2442号)。
また、当該占用水域が公有水面としての性格を損なわないため、設置する占用対象案件が公共性に資することが条件として求められている。
《公共岸壁に係船することに係る問題》
公共岸壁を特定企業が、排他的に他者を阻害する形で使用することの問題が生じる。岸壁は通常、荷の上げ下ろしのため誰もが利用できるものであり、独占的かつ営利を目的とした岸壁の長期利用は本来の岸壁の性質に反するものであるため。
《周辺土地利用計画との整合性》
占用許可に付随して、水域の計画的利用を図る観点から、占用案件の許可に当たっては水域と接合する周辺の土地利用計画(分区により条例で指定)を勘案し、その配置が適切なものであることが求められる。すなわち、都市計画法に基づく用途制限と同様、船舶の修繕が事業として行える土地利用計画地でなければならない。
《クリアすべき課題》
以上より、国有港湾において、B社が岸壁に係船した状態でフローティングドック事業を行おうとする場合、水域占用許可を取得する必要があるが、この場合、B社の修繕事業が公共性の担保を図ると認められることと、周辺の土地利用計画と合致した立地であることが前提であり、港湾管理者の長の許可が必要となる。
港湾の外郭施設である護岸または防波堤の背後に係船する方法もあるか、この場合にはその立地が係船が可能であるかどうかという構造的な問題があり、さらに水域占用許可を取得する必要かある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION